生きものの名前を言えるようになりたくて、近所の沼地に通ってみたら。
2024-01-05 阪口せりな|静岡5年目
鳥も虫も好きだけど詳しくない、そんな中途半端なレベルから脱したくて、2023年初、今年は近所の沼地にできるだけ通って、季節の巡りに目を配ろうと思った。できれば月に2回。
先日、おそらく年内最後となる沼地散策を終え、年間訪問回数を数えてみたところ17回でした。月2回は未達!それでも、ちょっとこの沼地の生き物のことは見れるようになった気がする。せっかくなので自分の備忘録がてら、スズメ、ハト、カラス以外の鳥の名前を知りたい方向けに、都市公園でよく出会える生き物[*1]たちを、写真とともにご紹介。
冬:1月~2月
訪問回数:1月は3回、2月は1回
啓蟄を迎えるまでの沼地は鳥の楽園。前年の11月頃から冬鳥たちが渡ってきて、この時期になると冬の水鳥たちがもっともたくさん見られるころ。数年まえからオオハクチョウが毎年訪れている。
水辺のイツメンはサギ類。でっかくて嘴が黄色いのはダイサギ、二回り小さくて、嘴は黒だけど黄色い靴下をはいているのがコサギ。他にダイサギによく似たチュウサギもいる。私はダイサギとチュウサギを見分ける自信がまだない。
そして水辺のアイドルといえば、やっぱりカワセミ。清流の鳥のイメージが強いけれど、わりとそこらへんにいる。車がバンバン走る道路の脇の水路(駿府城のお堀)でも飛んでいるぐらい。高い声でピーッピッピと鳴きながら飛ぶので、一度覚えるとすぐに「いるな」とわかる。
冬場は落葉しているおかげで、枝にとまった小鳥たちの観察もしやすい。
2月のある晴れの凪の日、2時間ぐらい水辺周辺を歩いただけで、20種類の鳥に出会えていた。帰って写真を見返しながら驚いた。
春:3月~5月
訪問回数:3月は1回、4月は3回、5月は2回
3月上旬、|啓蟄《けいちつ》の時期になると一斉に虫たちの姿を見かけるようになる。一方で、冬鳥たちは北へと帰っていく。そして4月、緑が茂り、小鳥たちの鳴き声は聞こえても姿は見えない。
そんな季節になるので、撮影対象も昆虫が多くなります。(昆虫苦手な方は、春・夏を飛ばして、秋へ飛んでください・・)
6月末に、昆虫のグループ写真展を開催したため、その作品を必死で撮りにかよっていました。ちょっと変わったカメラ(Foveon)縛りのグループ展だったので、出撃回数は多くても撮影枚数は極端に少ない。たぶんもっとたくさんの生き物をみかけていたのですが・・。
一年通してみかける、綺麗な青色のシジミチョウたち。実は何種類かいます。春先にたくさんみかけるのは、ツバメシジミ。
同じくシジミチョウの仲間で、オレンジ色のものもいます。
小さいけれどよくみると美しい虫たち。
サギたちはいつでも出会える。
夏:8月~9月
訪問回数:8月3回、9月1回
6~7月は前述の「蟲展」で燃え尽きて訪問できず。あまりの暑さに外出意欲もそがれていたのですが、沼地のトンボを撮りたくて、頑張って通いました。
暑いけど諦められなかったのは、こいつのせい。今年こそチョウトンボを撮るんだ!と強い気持ちで35℃の炎天下でも望遠レンズを担いでウロウロしたかいがありました。
チョウトンボ飛び交う真夏の沼地の動画もぜひ。音声ONにすると、より真夏を思い出せるので、おすすめ。
他にもトンボはたくさん。
トンボだけでなく、蝶もたくさんみかけました。
9月にはいると急にトンボの数がへり、なんとなく空気も秋の気配が漂ってました。
秋:11月
訪問回数:11月に1回(10月は0回)
イベントの前後で、10月~11月はほとんど生き物探しにいけませんでした。2か月ぶりに訪れると一気に秋になっていた驚いた。木々は紅葉し、もう昆虫よりも鳥に目がいく季節。
冬:12月
訪問回数:12月下旬に1回
この日は強風で、小鳥たちは藪のなかからでてきません。そんななかでも、枝にしがみついて高なきするモズたちが目立ちました。
来年への抱負
一年通して同じ沼地に通い、撮影していた鳥は31種、昆虫は41種(たぶん)でした。毎回撮影しては名前を調べて、を繰り返したことで、牛歩だけども少しづつ生き物のボキャブラリーが増えてきた気がします。とくに麻機遊水地でよくみかける鳥であれば、名前がスッとあてられる(はず)。ただし虫は・・まだまだ難しい。(あまりにも多様すぎるのです!)
来年こそは月に2回の訪問を実現して、もっとたくさんの生き物を撮りつつ、記録写真じゃない、作品撮りもできるようになりたいな。
生き物ログ用のX(Twitter)アカウントで、見かけた鳥や虫のこと、生き物がらみのニュースについて投稿しています。
参考
生き物の名前を知りたい(初心者)の人におススメの図鑑や本です。
鳥を知りたいとき
鳥の図鑑は、この一冊あれば大丈夫。
虫を知りたいとき
生き物界隈すべての人がおそらくマストハブに上げる図鑑。それが学研の昆虫図鑑。
誕生秘話もとてもおもしろです。虫屋の方々の生態を垣間見れる。
難しいイトトンボ問題も、この本があれば一人でなんとかできそう!と勇気がでた図鑑。そしてこの図鑑のおかげで炎天下の沼地に通う気力が湧きました。
チョウの1冊目はこれ。
個人的に一番好きな虫がハチ、とくにトックリバチがすきなので、この図鑑はとてもおすすめ。そもそも国内にハチが1400種もいるなんてしらなかった。
このハンドブック系はとてもわかりやすいので、何冊も集めてしまいます。
昆虫写真家の尾園さんのファンなので、尾園暁さんの本が多めになっております。
学研の昆虫図鑑さえ持っていれば、あとは好きな分類群のハンドブック片手に野外にいくと、だいたいの昆虫の名前は調べられるはず。インターネットで調べるときは、いつも昆虫エクスプローラさんから調べ始めることが多いです。
読み物としておススメ
昆虫の美しさをこの二冊で堪能してほしい。
そんなにチョウや虫に興味がない人にも読んでほしい。面白くて手に汗握り一気に読んでしまった。この本を読んで、生態学に進む人が増えるんじゃないだろうか。
上記と同じく、虫に興味のない人にも、そういう人だからこそ読んでほしい。著者はたぶん、かなりの変人。表紙の人。
鳥の本で面白くておススメの本はこちら。日本も大きな島の一つではありますが、それよりもっと小さな離島(たとえば小笠原諸島)で独自に進化した生き物たちのことを、楽しく考えることができます。挟まれるエピソードが面白過ぎて、何読んでるのか忘れそうになります。
生き物の名前をどうやって同定すればよいか、足掛かりになります。日々鍛錬。
画家であり絵本作家の甲斐さんが見つめたアシナガバチの生態。これを読めば、ハチにいとおしさが芽生えるはず。
虫からは少し離れますが・・里山とはなにか、どうして里山を守らなければならないのか、一気に腹落ちしまいた。著者の永幡さんの深いご知見に裏打ちされた文章が素晴らしく、繰り返し読んでしまいます。
もしよければ過去のnoteも読んでほしい・・
近所の沼地、こと麻機遊水池については過去に何度か書いています。
私の生き物や生態系に対するスタンスは、このときから今も変わっていません。
今年の6月末に開催したFoveon×昆虫しばりのグループ展についてはこちら。静岡市内のギャラリーでやったのですが、とてもマニアックな空間になって楽しかった。