えのきから驚くほどだしが出る!シンプルうまい、一品豚汁。

2024-04-30 有賀 薫

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ミニマムな材料でおいしさに最短距離で届くスープ・レッスン。今日は使う野菜が一品の「一品豚汁」をご紹介します。えのき一束をまるごと使い、きのこの風味がふんだんに感じられます。今日のレシピは、『有賀薫の豚汁レボリューション(野菜一品からつくる50のレシピ)』からお届けします。ぜひお試しください!

この記事は2021年cakes連載の再掲です。

野菜1品でも、豚汁と呼んでいいんです。

豚汁といえば、根菜たっぷり、具だくさんというイメージがあります。今日紹介するのは、えのきと豚肉だけのシンプル豚汁。シンプルでも、えのきから出る濃いうまみと、豚肉の脂のコク、それにちょこっと落としたバターの風味で、満足感が半端ない!

たっぷりひと椀食べたときに感じるボリューム、ごはんのおかずとして成り立つ濃厚さ、そして、どことなくほっとする味わい。豚汁に求められる条件をすべて満たした豚汁です。

一年中安定した価格で、いつでもどこでも手に入るえのきと豚肉があれば、あとは家にあるみそとバターでとっても手軽に作れます。

えのバタ豚汁

材料(2人分)  所要時間10分

えのきだけ 1束
豚バラ肉薄切り 80g
みそ 大さじ2と1/2
バター 小さじ1(5g)
水 500mL

作り方

1 えのきだけを切る
えのきだけは石づきを落として2cm幅に切り、軽くほぐす。豚肉は1cm幅に切る。★1

2 えのきを蒸し煮する
鍋にえのきだけを広げて入れ、豚肉をその上にのせて水100mLを加え、ふたをして中火で5分蒸し煮にする。★2

3 加水してみそを溶く
豚肉の色が変わったら水400mLを注ぐ。沸いたらみそを溶き入れ、再び煮立てて火を止める。器に盛り、バターをひとかけら落とす。★3

レシピのポイント解説

・えのきだけを切る
・えのきだけを蒸し煮する
・みそについて

★1 えのきだけを切る

えのきは、通年安定して手に入り、しかも安価なので、自炊の強い味方です。白いえのきでも、最近よく出回っているブラウンえのきでも、どちらでもおいしくできます。個人的にはブラウンえのきのほうが、若干うまみや歯ごたえが強いように感じています。

大きさが案外まちまちで、大きな束のえのきも見かけますよね。あまり大きなものの場合は2/3束とか1/2束とか、調整してください。
今回は1束180g弱でした。えのきは下の方が汚れているので、そこは大きめに切り落としてしまいましょう。

2cm幅ぐらいに刻みます。

洗わなくても大丈夫!

えのきってカップみたいなものにギュッと入れて育つので、下の方はひとかたまりになっています。ここは切ってから手でほぐします。少し固まっているぐらいのところがあったほうが、食べごたえが出ておいしいですよ。

全部バラさず、多少ムラがあったほうがいい

えのきを切ったら、肉も刻んでおきます。小さめに切ると、お椀の中でえのきとうまく絡み合います。

★2 えのきだけを蒸し煮する

ふたつきの鍋を用意し、えのき、肉の順にのせます。
そこに水を100mL加えてふたをぴったりして、中火にかけます。

少なめの水でまず、蒸し煮する

5分も火にかけておくと、肉の色も変わって、えのきにもすっかり火が通っています。そうしたら水400mLを加えましょう。

表面が固まっているので水を加えても豚肉からアクがでにくい

沸いたらみそを溶き入れて、再び煮立て、火を止めてできあがり。お椀によそって、バターをぽとんと落とします。

★3 みそについて

みそ汁や豚汁などのレシピをご紹介すると、どのみそがいいですか?と聞かれます。基本的には、どのみそでも構いません。食べ慣れているものがいいです。
というのも、みそは土地によってかなり味が違うからです。原料によって米みそ、麦みそ、豆みそなどがあり、さらに塩分や発酵具合によって赤や黄色、白みそなどがあったりします。みそ汁は私たちの生活の中に非常に深く根付いていますので、家で食べていたみそ汁に近い味が、多分おいしく感じられると思います。

家ではみそ汁は食べていなかったので食べ慣れたみそがないという人は「米みそ」を選ぶといいでしょう。裏の原料表示のところに「大豆・米(または米麹)・塩」と書いてあるものです。色は白より茶色っぽいものが使いやすいです。
あえて言うなら、私はだし入りではないみそをお薦めしています。というのは、他のものと混ぜて中華料理の調味料などとしても使えるので、だしが入っていない方が使いやすいからです。また、今回のように、だしの必要のない汁物もたくさんあります。具材のうまみを感じるためにも、みそ単体のものがいいのです。

もちろん、おいしいみそは全国にたくさんあるので、そういうみそを取り寄せて使ってみるのはすごくいいと思います。自分にぴったりのみそが見つかるといいですね!

豚汁生活はじめよう

豚汁って、おいしいだけではなく、たんぱく質と野菜、発酵食品であるみそが同時にとれる、本当にすぐれた料理です。ほっとするような安心感を多くの方が感じていることかと思いますが、豚汁がある食の記憶からでしょうか。

何も具だくさんにしなくても、こうして1種類の野菜をたっぷり入れて、豚肉と合わせるだけでおいしい豚汁ができます。みそには食材の臭みを消す効果があるので、豚との相性も抜群なんです。
また、だしを使わないで作れるの?と思うかもしれませんが、基本的に豚肉から出るだしのうまみと脂のコク、みそが持つ独特のうまみ、そして野菜が持つうまみや風味で、きちんとおいしさが守られています。どうしても物足りないときは、顆粒だしをあとから少量、足せばいいのです。

ごはんと季節の野菜を使った豚汁さえあれば、一人暮らしの人も栄養のかたよりなく健康的に食べられます。ぜひ、一品豚汁からはじめてみてください。

このえのバタ豚汁には、胡椒が合います。パンを合わせてもおいしいですよ!


【アレンジ】豚汁だから、なんでもあり!

豚汁は本当に幅広くて、特にこの豚汁は何を加えてもそれなりにまとまってしまうと思います。たとえば青菜を入れてもいいし、大根やにんじんなどの根菜を入れても、豆腐を入れてもOKです。また、ごはんやうどんにかけて食べるのもおいしいものです。毎日の食事を助けるものとして、活用してください。

えのバタ豚汁うどん

うどんつゆのかわりに、豚汁をかけます。基本の量だと、2人分のうどんつゆの量がないので、あと100mLほど水を足し、味噌を大さじ1足します。味噌の量が多いように思えるかもしれませんが、うどんにかけるのでこれでも薄いぐらいかもしれません。ほんの少しめんつゆを入れると締まります。

えのきとひき肉のバター豚汁

豚バラ肉を豚ひき肉にしても、おいしくできます。作り方は同じ。豚汁というイメージはないですが、これも立派な豚汁です。この豚汁はえのきからもしっかりだしが出るので、もも肉でもさっぱり作れますよ。

『スープ・レッスンseason8.春』マガジンで、くらしにスープをとりいれましょう


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5月に出るだしの本の予約がはじまりました!

新刊のおしらせです。5月13日に誠文堂新光社から、『有賀薫のだしらぼ』というだしの本が出ます。レシピも少しは載っていますが基本的にはだしについて書いた本です。だしに対してハードルの高さを感じている人にはぜひ読んでいただきたい本です!

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構想から2年ほどかけ、取材もたくさんして、私たちの暮らしの中で、だしをどんなふうに考えたらいいのかと、俯瞰するような本になっています。どうぞお楽しみに。

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