BMP100のリズムで刻む日常 #日々の大切な習慣

2024-06-05 菅野有希子

この文章は、ライオン株式会社とnoteで開催する「 #日々の大切な習慣 」の参考作品として主催者の依頼により書いたものです。

珍しく電車で移動をしたら平日の朝8:00。やけに混んでいてぎゅうぎゅうと押しつぶされた。そうか、満員電車というものが日本にはあったのだ。すっかり忘れていた私は手荷物の多さに申し訳ない気持ちになりつつ、飛び出した花や長い棒を必死に抱えて小さく縮こまって約15分をやり過ごした。


「今日はお休みですか?」

フリーランスのプロップスタイリストとして働き、自宅が職場のためほとんどの時間を家で過ごしている。決まった出社がないので何曜日が休みとか、何時から何時が仕事の時間といった決まりがない。撮影日や納期を見て自分でスケジュールを調整する日々です。ヘアサロンで「お休みですか?」と聞かれては「まあそんな感じです(午前中1本打ち合わせして午後はヘアサロンだけど夜帰宅したら見積書と請求書の制作とプロップの下調べするけど、、、)」というなんとも分かりにくい日々を過ごしている。そんなわけで久しぶりに平日の朝電車に乗ったら満員電車の洗礼を受けてドキッとしたのでした。

ランダムな毎日が私の性格にはあっているけれど、一方で誰もお尻を叩いてくれないので自分を律しないといけない。満員電車に乗らなくていいのは天国だけれど、放っておけばいくらでも自堕落になれる生活。「今あの件どうなってんの!?」と上司に怒られることもない代わりに仕事が遅れれば私がダイレクトに被害を被るし、「早く起きなさい!」と母親に叩き起こされることもない代わりに、不摂生な生活を続けていたらあっという間に体調を崩す。

決まったスケジュールがない日々だからこそ、私が自分の毎日のリズムを決める。そのために習慣が大きく貢献してくれていると思います。

まさに「咳をしてもひとり(尾崎放哉)」な私が、自ら私自身のプロデューサーとなって心身の調子を整えている。そんな私が心がけている習慣を5つお話します。

大切にしている5つの習慣

①その日の音楽を決める

朝起きてラジオをつける人、テレビをつける人、何もつけない人、色々だと思うけれど、私は自分の好きな音楽をかけている。シンプルに「音楽が昔から趣味で大好きだから」というのもあるのだけれど、それだけではない。ただ好きな曲を聴きたいというよりも「今日はどういう感じで行きたいか」を決めるために音楽を選んでいる。

「あの雑貨店はいつも環境音楽流しているな」「あの赤提灯はいつも歌謡曲をかけてるな」というように、お店の雰囲気作りにBGMはつきもの。同じように、自分の家=自分のお店、自分=スタッフみたいな気分で音楽を選びます。今日はデスクワーク中心の日だからオフィスっぽいBGMにしよう。今日は自宅で撮影の日だからちょっと歌ものがあってもいいかな?はたまたやる気が出ない時はガツンとゴリゴリのヒップホップをかけてみたり。

どんなテンポで行こうか、アゲすぎても下げすぎてもよくない。ほどよいリズムでフロア(私)を沸かせるように。自分がDJになって今日の自分を盛り上げるためのBGMを選んでいます。

今の家は音響設備がないのでもっぱらスマートスピーカー頼り。いつかレコードをかける生活ができたらいいな。

②朝起きたらまず換気する

ごくごくシンプルな習慣もひとつ。
朝起きたら必ず窓を開けて換気しています。空気が入れ替わることでなんとなく1日が始まったような気がする。おまじないみたいなものだけれどスッキリするから続けている。1日をスタートする儀式は人によって様々だと思うのですが、長年続けていることでこれがないとしっくりこないのです。

③ビールはグラスに注ぐ

缶ビールはそのまま飲んでもいいのだけれど、できるだけグラスに注いで飲む派。ビールの液色はブランドによって様々なので、レモンイエローなのかオレンジなのか黒なのか、グラスに注ぐことでその色を楽しむことができるし、何よりあの泡がこんもりしているのを眺めたい。だってそれもビールを飲むことの醍醐味だから。缶のまま飲む時より数倍美味しく感じます。

「目で見て楽しむ」も食の喜びの一つになっている。そして、美味しそうだなと感じる佇まいを作るものとして食器は欠かせないアイテムです。

栄養を取れればいい、味さえ良ければなんでもいい。忙しい日々の中ではそんな時もザラだと思う。隙間時間でコンビニで買ったおにぎりを見向きもせずかっこむ時もある。いいんです。私だって毎日3食きちんとしたご飯なんて無理です。でも毎日毎日365日24時間「これでいいや」「仕方ないし」「とりあえず」が続いているとなんだか心が殺伐としてくるような気がします。

セルフケアのために食器を用意してきちんと自分のためのごはんの時間を演出する。ビールを注ぐ時ぐらいはグラスを使う。これは自分との約束。

たまに缶のまま飲むのを想定しているビールがあるのでその時は缶のまま飲みますけどね(笑)

④日曜はヨガのオンラインクラスに参加する

撮影の仕事は肉体労働なので続けるためにも体が資本だけれど、いかんせん私は人一倍体が弱い。過去、ジムに行く、水泳に行くなど「どこかへ通う」運動習慣は全く続かず自分のライフスタイルには合わなかったので、諦めて家でできることを増やすことにしました。

今年に入って続けているのは日曜日にヨガをすること。ヨガは昔からなんとなく日常にあった運動習慣ではあるけれど、ポイントはYouTubeのオンラインクラスに参加するということ。ライブに参加するというのがとても良いんです。リアルタイムでコメント欄が埋まっていくのを見ていると「みんなと一緒にヨガしてるな」という一体感が楽しいし、この時間に間に合うようにしなくては!と思うと生活のリズムを作ることにも一役を担ってくれている。何しろ曜日感覚が欠如しているフリーランス。ヨガがはじまると「ああ世間で言う日曜になったのだな」と実感します。

とはいえ必ず毎週と決めすぎず、どうしても日曜に他の予定を入れる場合は他の日に振り替えて試聴したり緩やかに続けています。

実際はヨガといってもほぼストレッチでゆるやかなものなので、これ一つで体力がつくということはないと思う。ただ、「最近首がやたら凝っているな」「今週は体が柔らかい!毎日少しずつストレッチしていたおかげかも」なんていうように、一週間に一度自分の体を点検する時間になっているように思う。自分の体に気づく、最後の瞑想の時間に自分のメンタルにも気づく。習慣があるからこそ、自分の小さな不調や健康状態に気づけると思います。

⑤紙とペンでアナログに振り返る

スケジュール管理はデジタルの方が便利だけれど、それとは別に手帳やノートを愛用している。これは予定を決めるためではなく、頭の整理をするために活用しています。何を書いてもいい、好きな時に書いていい「書き殴り系」ノートと、毎月の目標やこれからやりたいこと、起きた出来事、読んだ本、など記録をしていく「振り返り系」手帳の2つを持っている。

手で描くというのは不思議なもので、何かのマジックが宿っていると思う。親指でぽちぽちと打つのでも同じ文章は書けるけれど、ペンを持って描くという肉体を伴った行為にメディテーション的効果があるような気がする。何より簡単に図や絵を書けるのがいい。頭を整理する時には、つらつらと文章で書くよりも図解したほうがわかりやすくすっきりする。自由に白い紙に矢印やら表やらマインドマップやらを使って書くことで過去と未来を整理している。

紙とペンじゃないとしっくりこない。アナログは魔法です。

揺れる日々の中でチューニングする

今回お話しした5つの習慣はフリーランスな私の日常を支えてくれているものですが、おそらくそうではない働き方や暮らし方をしている方にとっても習慣というものは力になるのではないかと思います。なぜならこれらは全て自分で自分のリズムを作るためのものだから。上司や部下に振り回される日々であっても、家族に振り回される日々であっても、日常のほとんどはそうであっても、どこかでここは私のリズムでいく!と決める部分があること。自ら自分の人生や生活をハンドリングする意識を持つということが習慣を作るということだから。そしてそれは自分への信頼につながることだと思う。

なんだか大きい話になってしまいました。書いていて偉そうな自分に気づいて少し恥ずかしくなってきました。

正直こんなことを書いている私自身も、自分のリズムが作れない時は多々ある。習慣にしたはずのものが、体調不良や突発的な事情で全て無になることもしょっちゅう。朝起きれないし、ヨガもできないし、食器もめんどくさいから出さないし、音楽も聴きたくないし、ノート開くのも億劫。そんな時もざらです。日々は揺らぎがあって当たりまえ。でもその不調が長引かないように、ふと立ち止まって「そう言えば最近習慣にしてることできてないな、もう一度取り入れなおそう」とチューニングする。いい日もそうでない日もある中で、自分を立て直す。これがあればと戻れる場所として良い習慣があると良いなと思う。

午前中かける音楽はだいたいBPM100が多い。
私の日常はBPM100ぐらい。ビートが早すぎないか、遅すぎないか。

BPM100の日常を続けたいものです。

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