273 全国の先駆けとなった武雄の新名物・武雄市図書館を訪ねる。

2023-06-29 ミヤコカエデ(Miyako Kaede)

佐賀県武雄市に来ています。

昨秋西九州新幹線が開業して活気に湧く町ですが、実は新幹線が開業する少し前にも、この町が一時話題にあがったことがありました。

それが武雄市図書館。バブル末期より計画された事業であり、2000年に竣工した建物自体もモダンで快適な空間を演出しているんですが、特に注目を浴びたのは2013年に指定管理者をTSUTAYAを運営するカルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)に指定したこと。民間の会社が公立の図書館を運営するのは全国初のことであり、これに対して賛否両論の議論が繰り広げられました。そもそもノウハウがあるのか、本の選定が民間の恣意に流され市民の知る権利が奪われるのではないかなど批判もかなり多く、誘致を検討した町で反対運動が起きたのも記憶しています。

同年に館内を改装し、当時は館内飲食禁止が当たり前だった図書館の中にスターバックスを誘致。1階には蔦屋書店もおいて本はもちろん雑貨の販売も行うようになりました。

2階は端から端まで弧を描くように書棚が並べられ統一美を演出。階下を見下ろす回廊を歩きながらゆっくり本を選べる造りになっています。改装前はここは机が並べられ学習スペースになっていました。それはそれで勉強がはかどると思いますが、こちらの方がおしゃれ感が確実に増しますね。

この日は日曜で、階下の右手にあるスターバックスは大盛況です。改装後、図書館の貸し出し冊数はそれ以前の4倍に増加し、武雄市の新名所として全国から観光客も押し寄せるようになりました(私もそのひとりです)。1階は賑やかですが2階はこの大きな本棚の裏に学習スペースがあって音がさえぎられて意外に静かです。ただ賑わうだけでなく、静かに学習する場もしっかり提供することができています。

蔵書が多くて名著を多くそろえる図書館でも、建物が古かったり、併設の施設が魅力的でなかったりして貸し出し冊数が伸びないのでは宝の持ち腐れです。どの町でも民間の力に頼るべき、カフェを入れるべき、とは思いませんが多くの人が足を運びたいと思えるような環境づくりをすることは必要なのではないでしょうか。

さて、武雄市図書館はあまりに有名になりすぎたためか写真を撮る人が続出したため写真撮影が可能なのは2か所だけでした。

一方、その隣に5年前に建てられた「こども図書館」は撮影が自由になっています。

木のぬくもりが感じられる館内。ポップな音楽が流れてワクワクした気持ちにさせてくれます。

向こうの書棚は子どもには届かないかな?床に座って本を楽しめるスペースは靴がいっぱいで盛況ぶりがわかります。

こんないい環境で本を読めたら、また来たいって思うお子さんが増えますよね。最近子供向けの図書館が増えていると思いますが、未来を背負う子供たちに学ぶ環境を与えるのは非常にいい取り組みだと思います。

武雄の旅の最後は武雄神社へ

図書館を見学したあとはそのすぐ近くにある武雄神社に参拝しました。

石垣の間に神社への階段があります。なかなか珍しい形です。この神社には樹齢300年を超す大楠があり、武雄神社の神木とされています。

こちらの鳥居を潜り、森林浴をしながら歩いていくとご神木に会うことができます。

何百年もの間、この地に根を張り武雄の発展を見つめてきたご神木。こういう木を前にすると自分の悩んでることとかすごく小さく思えてきますね。

武雄の旅の最後に、傘みくじという傘の形をしたおみくじを引いてみました。運勢は晴れなどの天気で表現されています。

曇り。うん、微妙。おおむねよかったんですが旅行はいまはもう少し控えよとのことでした。うーむ。

温泉の開湯から1300年。宿場町としても栄えた武雄は古いものだけに頼らず、一大スパリゾートを建てようとしたり、図書館を民間委託したり新しいことにチャレンジする進取の精神に富む町でした。西九州新幹線にただ乗り換えるだけでなく、ぜひここで下車して武雄の町を歩いてみてください。


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