【メールでバレる】優秀でも「ないと出世できない」超重要スキルとは?
2024-06-24 ダイヤモンド社書籍編集局
『入門 考える技術・書く技術』著者・山崎康司氏に聞く
書けないのは「技術」を知らないから
日本人がビジネス文書をうまく書けないのは、教わっていないから。実は『入門 考える技術・書く技術』の著者である山崎氏も、アメリカの経営コンサルティング会社に入社したとき、ビジネス文書がうまく書けなかったのだという。本書は、そんなエピソードから始まる。
インタビューでも、山崎氏はこんなふうに語っていた。
「最初はひどかったですよ。でも、考え方を教えてもらったら、あっという間にできるようになったんです」
ちゃんとしたトレーニングを受けたら、日本人でもできるようになる。大きな気づきだった。
自分の考えを言葉でどう表現するのか?
実はこのとき、英語で書かれた1冊の本を渡されたという。それが、バーバラ・ミント著『考える技術・書く技術』だった。
「日本はもちろん、世界中の経営コンサルティング会社の教科書になっている本です。私もこのとき、英語版で勉強をしました。そして後に、私がバーバラ・ミントさんに直接手紙を書いて説得し日本語版が刊行されることになったんです」
1995年に刊行された日本語版の『考える技術・書く技術』は、旧版・新版併せて累計33万部突破のベストセラーとなった。今も売れ続けている。だが、山崎氏には一つ気になっていたことがあった。
考える組み立てについてしっかりと書かれた本だが、考えをどうやって言葉で表現するか、という点については、あまり詳しい解説がなかったことだ。
「頭の中のアイデアは、言葉で表現しないとコミュニケーションできないわけです。実はレポート・ライティングについてすでに学び、しかも慣れている欧米の言語の人たちには、あまり問題にならなかったんですが、日本ではそうはいかないと思いました」
日本ではレポート・ライティングやビジネス文書を習う機会はなかなかない。日本人にとっては、考えをしっかり言葉で表現するための勉強ツールが別に必要なのではないか、ということに気づいたのである。
「実は1992年から研修で『考える』こと、『書く』ことについて教えていたんです。このときに改めて感じたのが、メッセージをしっかり組み立てることに加え、言葉で表現していくことの大事さでした。考えの組み立てについても、日本人向けにわかりやすいものが必要だろうと思ったんです」
こうして本書『入門 考える技術・書く技術』が刊行されるに至った。2011年のことだ。
ライティングの下手な人は出世が困難
実はアメリカでは、ライティングは極めて重要なケイパビリティになっているという。しかも、ライティングは細かく細分化されている。
「書店に行くと、いろんな種類のライティングの本が並んでいます。例えば、警察官の報告書ライティングとか、消防士の報告書ライティングとか。分野ごとに、ライティング本があるんです」
本書にもこんな記述がある。
ところが日本では、ライティングの授業がある大学は20ほどしかないという。だから、いまだに小中学校で教わる「起承転結」が幅を利かせていたりするのだ。いつまでも結論が出てこないような文章が相変わらず出回り、しかも読み手も意識されない。
「だから、ぜんぜん違うんです。この違いというものを、しっかり理解した上で、日本人はライティングを学んでいかないといけない。今は、メール1本で相手を説得しないといけない時代なんです」
もはやグローバル企業では、ライティングの下手な人は出世が困難になっているという。しっかりと書く力が問われている時代が来ているのだ。
(次回に続く)
(本記事は、『入門 考える技術・書く技術――日本人のロジカルシンキング実践法』の著者にインタビューしてまとめた書き下ろし記事です)