年間100種類!?カルビー ポテトチップスの商品開発

2024-07-26 THE CALBEE

カルビーが初めてポテトチップスを発売してから、来年で50年を迎えます。今回はカルビー ポテトチップスの歴史を振り返ったうえで、現在のポテトチップスがどのように開発されているのか、研究開発本部 ポテトチップス課の課長を務める石川さんに伺いました。

石川 悠幾(いしかわ ゆうき)
カルビー株式会社 研究開発本部 ポテトチップス課 課長
2012年入社。清原工場のフルグラ製造ラインに従事した後、2015年に研究開発本部に異動。「ポテトチップス ギザギザ」「ピザポテト」など、厚切りポテトチップスを中心に複数の商品の開発担当を経験。2022年より現職。


カルビー ポテトチップスのはじまり

1967年、カルビーの創業者である松尾孝は、アメリカでポテトチップスが山のように積んで売られている光景を目にします。その7年後、松尾は、1975年にカルビー初のポテトチップス「ポテトチップス うすしお味」を発売しました。翌年には「のりしお」、1978年には「コンソメパンチ」と、味付けの異なるポテトチップスを続けて発売、ヒット商品となっていきます。

発売当時の「ポテトチップス うすしお味」

これらのポテトチップスがヒットする中、さらに「ハードタイプのポテトチップスが欲しい」「ディップに適したポテトチップスはないか」といった要望を受け、1983年、元祖・厚切りポテトチップスである「ルイジアナ」が誕生します。これまでのフラットカットのポテトチップスに比べて、厚めのスライスのギザギザカットが特長でした。
 
「ルイジアナ」は業界初のアルミ蒸着の包装を採用し、カルビーで初めて2つの味を同時発売するなど、ポテトチップスの新たなスタンダードをつくった商品でした。

この「ルイジアナ」を皮切りに、カルビーは多様なバリエーションのポテトチップスを展開していきます。

ポテトチップスの開発

長い歴史を紡いできたカルビーのポテトチップスは現在どのように開発されているのでしょうか。石川さんに聞きました。

―ポテトチップスの開発はどこで行っているのでしょうか。
石川:ポテトチップスをはじめとしたカルビー商品の多くは、栃木県宇都宮市にあるカルビーR&Dセンターで開発しています。ポテトチップス課には私を含めて7人のメンバーが所属し、「ポテトチップス」「ピザポテト」「ザ・厚切り」などの商品開発を進めています。

カルビーR&Dセンター

―商品ができるまでの流れを教えてください。
石川:まず、商品の設計をするための “デザインレビュー”を、マーケティング部門と合同で行います。これは過去の商品実績やお客様の声などを踏まえ、どのようなコンセプトで、どの時期に、誰に向けて、商品を開発するのかを明確にするものです。

デザインレビューで新商品の方向性が決まったら、開発のスタートです。担当者はコンセプトに基づいて試作品をつくり、よりおいしくするための改良を行います。こうして1~3か月かけて商品ができあがり、その数か月後にお店に並びます。

デザインレビューの様子

ーポテトチップスは数多くの種類が発売されていますね。何種類あるのでしょうか。
石川:
常に50種類以上が販売されています。期間限定品や数量限定品、地域限定品などすべて合わせると、年間で約100種類もの味が発売されているんです。

商品数が多いことから、ポテトチップス課のメンバーは5品以上の開発を一人で同時に進めることもあるので大変です。味づくりのために試食する機会も多く、時期によっては1日2袋分ほどポテトチップスを食べているかと思います。

―それだけ多くの商品はどのように生み出されているのでしょうか。
石川:例えばカットひとつとっても約10種類あり、ポテトチップスの食感に変化をもたらします。

定番の「ポテトチップス」の“フラットカット”はパリッとした食感を楽しむことができ、どんどん食べ進められる形状です。カットの主張が強くないので、様々な味を最も楽しんでいただけます。

フラットカット

一方「ポテトチップス ザ・厚切り」などに使用されている“Vカット”は、“フラットカット”に比べて厚みがあり、じゃがいも感や食べ応えを楽しむことができるカット方法です。

Vカット

このような食感バリエーションに、さらにフライ方法や味つけを組み合わせることで、多様な商品ラインナップを実現しています。

ポテトチップス食感早見表

品質を守るために

―新商品開発以外に、ポテトチップス課はどんなことをしているのでしょうか。
石川:商品の品質を守る取り組みも行っています。カルビーには、商品が“目指すべき姿”を基準として定めた“ゴールドスタンダード”という考え方があります。私たちは他のチームと協力しながら、週に1度、ポテトチップスをつくっている7つの工場から商品を取り寄せ、見た目・食感・味を調査しています。調査の結果は各工場にフィードバックし、生産活動に活かしてもらっています。こういった活動を続けているからカルビーのポテトチップスはおいしいのだと自信をもっています。

―最後にこれからの目標を教えてください。
石川:今ある商品をよりよくする活動は大切にしていきたいです。現在、“ゴールドスタンダード”に基づく調査は“フラットカット”の「ポテトチップス」と「堅あげポテト」で実施していますが、今後は“Vカット”などの厚切りポテトチップスにも拡大し、さらなる品質向上に取り組んでいきたいと思います。また開発担当として新しいものを生み出したいという思いも強いです。

来年はカルビーがポテトチップスを発売してから50年。みなさまに愛していただいている味を大切に守りながら、これからも進化を続けていきたいと思います。今後もカルビーのポテトチップスにぜひご期待ください。

文・写真:瀧澤 彩

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