エンジンは生き残る? EVシフト減速も「欧・中・米」による三つ巴の政治の戦いは続く…日本はどうなる? ボルボEV戦略撤回で業界の先行きは?

2024-09-11 いしまる

〜ボルボも軌道修正、どうなるEVシフト?〜

 結局、EVシフトって、これからあまり進まないんじゃないのか。
 
 ここへきて、そんなイメージを持っているユーザーが少なくないかもしれません。
 
 なぜならば、メーカー各社が相次いで、電動化戦略を軌道修正することを明らかにしているからです。
 
 直近で大きなインパクトがあったのは、スウェーデンのボルボでしょう。

結局、EVシフトって、これからあまり進まないんじゃないの? どうなの?

 ボルボは「2030年までにモデルラインアップのすべてをEV化する」という、大胆な戦略を2021年に発表しましたが、これを2024年9月上旬に事実上、撤回したのです。

 新たな目標としては、2030年までに全モデルの90〜100%をEVまたはプラグインハイブリッドとし、残りをマイルドハイブリッドにすると言います。

 ボルボとしては、これからもEVシフト牽引役としての立場を堅持するものの、社会の情勢に合わせて柔軟に対応するという姿勢を強調しています。

 また、ドイツのメルセデス・ベンツも2024年2月、「2030年以降も、プラグインハイブリッド車を継続的に導入すると同時に、新たな内燃機関(エンジン)も開発する」という中期的な事業計画を発表。

 同社の場合、これまでは「2030年までにEV100%」を掲げていたものの、そこには「市場の環境が(EV向けに)整った場合」という枕詞(まくらことば)がありました。

 そのため、今回の目標修正は「織り込み済み」という見解です。

 そのほか、アメリカではフォードが2024年8月、3列シートのフルサイズSUVのEVの近年中の発売を中止したと発表。

 またテスラの販売実績が頭打ちになってきたなど、アメリカではEVシフトの陰りが見えており、EVに代わってハイブリッド車のシェアが一気に上がっている状況です。

 一方で、日本メーカーの考え方は、「国や地域によってEVを含めた電動化の普及にはかなり違いがある」というもの。

 業界団体の日本自動車工業会は、「カーボンニュートラルに向けた方法は様々ある」として、海外での急速なEVシフトに懸念を表明しつつ、「マルチパスウェイ」を基本方針として打ち出してきました。

 ハイブリッド車、プラグインハイブリッド車、電気自動車、燃料電池車、水素燃料車、カーボンニュートラル燃料車など、多様なパワートレインを国や地域の社会状況に応じて臨機黄変に導入することを指します。
 
 このように、グローバルでEVシフトがスローダウンしていることは明らかです。

 そうかといって、日本が推奨するマルチパスウェイについても、今後のグローバルにおける法規制の動向がはっきり見えてこない中、先行き不透明な情勢なのです。

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