お腹は弱いし夏は苦手だけど、ミニかき氷なら食べたくなるもので。

2024-09-02 eguchi

夏に食べたくなる食べ物といえば?と問えば3人目あたりで「かき氷」と上がるのではないのだろうか。

うだるような夏に体が欲する氷菓。夏祭りの定番メニューとしても昔から親しまれているし、近年では氷やシロップにこだわった高価格帯の贅沢なかき氷も人気だ。最近はスイーツ系の催事場で普段はケーキを作っているパティシエがかき氷を作ることもめずらしくない。

今やかき氷は夏以外にも食べられる場所があるくらい、食のメジャージャンルとなった。



食べることが生活の主軸。特におやつは得意分野という私も何度その波に乗りたいと思ったことか。

だって、おいしそうなんですもん。
希少な果物や野菜、赤ワイン、ハーブ、カカオ、こんな食材までかき氷に……?!と驚くような食材が使われていることも多い。

最近はパフェのようにいくつもの構成を忍ばせられているかき氷もめずらしくない。かき氷のベースは氷。絵に例えるなら真っ白なキャンバスのようなものだ。確かに可能性は作り手の数だけある。

パティシエや料理人の手に掛かるとかき氷も一皿の料理のようになるから不思議だ。
……気になる。食べたい。


けれど、私はかき氷というだけで大抵は見送ってきた。最近はあまりにも自分の食指が動くものが多いからまずは見るようにしているが、少し前まで見ることもないくらい選択肢から外して生きてきた。

だって、お腹が弱いから。

夏の冷えた店内で、かき氷店の主流であるあの高く盛られたどんぶりサイズのかき氷は絶対に無理だ。お腹を冷やしてしまう。お腹がそこまで強くなく、一年を通して温かいものを好む私にはかなりの修行のように思えた。


ふわふわの氷なら頭が痛くならないとかそういう次元じゃない。そもそも体を冷やすことが得意ではないのだ。冷房のキツイ部屋にいると何か一枚羽織りたくなるし、家の中で冷たい飲み物を飲むときは手で温めて常温にしてから飲むことが多い。


そう、体質に合わないものを無理に食べる必要はない。他にも興味があるものや好きなものはたくさんあるし、かき氷くらい食べられなくたって。

……と言いたいところだが、食いしんぼうな私は我慢できず、実は2年前にかき氷を解禁したのだ。
今までかき氷は頑なにスルーしていたのに、どうして今になってというと、大人になってから自分なりの方法で季節を楽しみたいと思ったからだ。


私は旅行や遠出をすることはない。だからこそ、と言うかそのぶん、巡ってきた季節を大事にしたい。その季節を見て、触れて、楽しんで、そしてその季節の味を味わいたい。だから苦手意識のあったかき氷も食べて見ることにしたのだ。

そして気がついた。
ミニサイズのかき氷なら、私のようなお腹が弱い人間でもおいしく食べることができるな……?!ということを。


だって私だって食べたい。こんなにおいしそうなものが目の前にあるのに食べないで素通りしたくない。食の可能性があるならば、広げたい。


ということで、かき氷を避けていた人間が久しぶりに食べておいしい!と思えたかき氷たちを見てほしい。今はかき氷が流行っていることもあって、食べ方も、大きさも、多種多様なものがある。私のようにかき氷に苦手意識をもっている人にもおいしい!と思えるかき氷があるかもしれない。


おなかは弱いし夏は苦手だけど、ミニかき氷なら食べたくなるもので。



◯とろとろの果物シロップのやさしいかき氷、粉の日(東京都板橋区)

焼き菓子屋が夏の間だけ焼菓子すこしとかき氷のお店になる。

ここのお店のかき氷はサイズ感、氷のふわふわ度、シロップのかけ具合全てがベストで、食べ終わった後に身体が冷えてしまったなという感覚もない。

ラインナップはあんず、プラム、新生姜が主で、とろとろのシロップ(というより果肉入りだから私はジャムに近いと思っている)がたくさんかけられているのもうれしい。何より果物そのままの色がかわいい。天然のビタミンカラーって見ると元気が出る。私でももうちょっと食べられるかも、というか食べたい!と思えるやさしいかき氷。

とうもろのしとサワークリームのマフィンも!夏味でおいしいねえ。


◯あの赤福がかき氷に、赤福(三重県伊勢市)

普段はお店のある伊勢周辺(または名古屋など)でしか食べられない赤福氷だけど、数年前に東京に催事出店していた時に食べることができた。

かなりのボリュームがあるのでお腹弱い民には難易度が少し高めだけど、赤福氷のために調整されたというあんことおもちが入っているのでちょっとずつ変化をつけながら食べられるのがいい。

あんこは氷にも馴染むようにさらっとしているし、おもちは氷の中にいたのが信じられないくらいやわやわでおいしい。あんこももちも氷を崩していくと出会えるというのが発掘体験のようでちょっと愉快だ。

現地のお店ではどうかわからないが、催事会場では温かいほうじ茶が付いてくる且つお代わりすることができた。ありがたきご慈悲に感謝……。


◯暑さと湿度を吹き飛ばす梅パワー、乃し梅本舗 佐藤屋(山形県山形市)

お酒を使った和菓子やオーダーメイド練り切りなど独自の発想が面白く、和菓子の催事で度々お世話になっていた佐藤屋。今年の夏に催事会場で振る舞われたのは完熟梅のピューレとお砂糖だけで作られた「乃し梅シロップ」を使った乃し梅かき氷。

実は梅が昔から苦手で、健康のためにと梅干しをおにぎりに入れたりと食べるようになったのは本当にこの数年のこと。

りんごのようなフルーティーささえ感じる乃し梅の甘酸っぱいシロップは後を引くおいしさで、食べ進める手が止まらない。食べた日は息をするのがやっとの湿度がすごく高い日だったんだけど、まさにジメジメとした空気を洗い上げるようなかき氷だった。

あまりにおいしかったので、夏場の栄養補給〜♫で梅しぐれも購入。梅の甘酸っぱさが夏場の疲れた体に染みる……。


◯ひと夏のひえひえ〜体験しましょうよ、ひやかしippond tea(東京都渋谷区)

京都のお茶の老舗「一保堂茶舗」がひと夏限定でPOP UPを開くって!?

行ってみれば「ひやかし」にちなんだひえひえフード&ドリンクメニュー、お茶にちなんだおばけちゃんのグッズ、竹やガラステーブルで涼を感じる内装。POP UPなのが惜しいほどに、体験型のような楽しいお店。夏の終わりとともに消えてしまうのが寂しいけど、夏の幻みたいで、それはそれで物語だ。

濃ゆくて渋みも感じる茎ほうじ茶氷に、晩柑と茎ほうじ茶やライチのシロップ。お茶と果実の組み合わせはアジア特有の奥行きがあってアンニュイな風を吹かす。最後までひえひえの状態で食べられるようにと作られたアルミカップは洗って持ち帰りも可能(リサイクルもできる)一保堂の熱々の番茶がお代わり自由なのもうれしい。


◯とらやがかき氷を作るならば、トラヤあんスタンド(東京または神奈川)

とらやではなく正しくはとらやのカジュアルなカフェ形態「トラヤあんスタンド」が作るかき氷。

北青山店は店内のいたるところにいる虎を探すのも楽しい

「夏みかん」のかき氷は、甘夏柑のピールと夏みかんの蜜はまさに夏の涼風という具合に爽やか。そこにトラヤあんスタンド自慢のあんペーストと黒砂糖羊羹と白玉がトッピングされるというさすがのとらやメイドだ。

溶けた氷とあんを一緒に食べるのもおいしくて、そういえば私はあんこと果物の組み合わせが好きだなあということを思い出した。ちなみにセットで温かいほうじ茶も頼めるし、北青山店はひざ掛けも置いてあった。ありがたき心遣い。



私はかき氷が食べられるんだ(ミニかき氷に限るけど)ということに気が付いてから食の可能性が広がったことが嬉しいし、何より夏を楽しめる要素が加わったのは喜びに尽きる。

大人になってからでも、自分から遠ざけていたものが違う景色を見せることだってあるし、自分の世界は自分なりの方法で少しずつ広げることだってできる。可能性はいつだって手の内にあるからね。


夏はまだ終わる気配を見せない。
まだ食べきれていない夏の食べたいものリストも残っている。あとどのくらい出会うことができるかな。

今年の夏も最後までめいいっぱい味わうぞ〜!

noteのコメント機能では写真はつけられないと思うのですが、ぜひみなさんの今年の夏の記憶に残る一皿(料理、飲み物、お菓子なんでも可です!)もよければ教えてください🌻



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