人事歴21年目の初挑戦 グッドパッチ初のCHROになりました

2024-09-03 井出 日彦_グッドパッチ 執行役員CHRO

こんにちは。デザイン会社グッドパッチのチャッカマンこと井出です。

グッドパッチに入社して2年、2024年9月1日付でこのたび「CHRO(最高人事責任者)」に就任しました。

2年間いろいろあったな、今思えばカオスだったな……としみじみしてしまいそうになりますが、過去を振り返っている暇はありません。

グッドパッチは創業して14年目になりますが、CHROというポジションを置くのは初めて。そこで今回はなぜ、今グッドパッチとしてCHROを置くことになったのか。その理由と意気込みのようなものについてお話ししたいと思います。

CHROを設置する企業は増え続けている

最近は日本でも「CHRO」を設置する企業は増えました。これは私が人事としてキャリアを始めた20年前には、あまり考えられなかった光景です。

CHROが増えているのは、経営において「人」という資源の重要性が高まっているからですが、それは今に始まった話ではありません。私が新卒入社したパナソニックの創業者である松下幸之助も「モノを作る前に人を作る」という言葉を残しています。

パナソニックはメーカー、いわゆる「モノづくり」の会社ですが、良いモノづくりをするにはその前提として人づくりをすることが重要である、という考え方であり、会社における価値の源泉が「人」であることを端的に表している言葉です。

物をつくる前にまず人をつくる~松下幸之助の人材育成|PHP人材開発 新型コロナウィルスの感染拡大の影響により、人事部門にもさまざまな課題が山積しています。そうした課題に取り組んでいくうえでの hrd.php.co.jp

また、人が企業における「価値の源泉」と捉えるのは、世界の株式市場でも一般的になりつつあります。2023年には、日本でも人的資本の開示が義務づけられるようになりました。企業における成長可能性を示す指標として、投資家も重視しており、人事が企業価値を左右する、つまり、人事が経営に関与する必要性を示す分かりやすいトレンドになっています。

人はすぐには変われない。だから企業にはCHROが必要だ


CHROに求められる役割は、企業によって異なるところはありますが、私は

・人と組織の課題解決を図ることで、会社および事業の成長を牽引すること
・人と組織に関わる戦略立案と推進を行うこと

の2つにまとめられると考えています。

会社および事業の成長を牽引という点で、CHROに期待されていることは、ずばり「事業計画必達に向けた貢献」でしょう。

決算開示が必須となっている上場会社においては、四半期の売上・収益をきちんと予算必達でマネジメントしていくことは言わずもがな重要なアジェンダです。人事においては、人材の調達(採用)や人件費マネジメントを通じて、ダイレクトに貢献することが求められます。

もう一つの「人と組織に関わる戦略立案と推進」についてですが、私はかねてから人間には、2つの特徴があると考えています。

・人はすぐには変われない
・人はモチベーション次第でパフォーマンスが変わる

特に中長期の戦略において意識しなければならないことは「人はすぐには変われない」という点です。どの会社においても競争環境は明らかに激化しており、変化のスピードが遅い会社が淘汰されてしまうというのは明白でしょう。

そして、会社が変われるかどうかは、「人」が変化していけるかどうか、だと私は考えています。しかし、多くの人は変化を嫌います。単純に変化は大変だからです。

だからこそ、人事は事業戦略をよく理解した上で、どの部門、どの職種のトップよりもプロアクティブに先手を打っていく必要があります。

数年後に会社で活躍する人物(像)を想定して、今いる人材が変化をしていくべき方向性を明確に示し、今はないケイパビリティを外から確保したり(採用)、人材開発の機会を提供して変化を促したり。時には、人事制度を改定することで会社の価値観にも変化のドライブをかけにいく──そのような仕掛けを行っていくことが重要な役割なのです。

これが、私が人にまつわる部門の責任者を「CHRO」として、より経営に近いところに置くべきと考える一番の理由です。

CHROは経営の一次情報に常に触れることができます。「人はすぐには変われない」からこそ、経営が向かう先のまたその先を予測し、会社の価値を高めていくポジションが今、求められているのではないでしょうか。

グッドパッチのビジネス変革を支援し、カルチャー変革を牽引する存在に

今回、グッドパッチがCHROというポジションを置くに至ったのは、端的に言えば、変革が求められている状況だからです。

1つは「ビジネスの変革」。日本でもデザインに対する認知が少しずつ変わってきたことで、デザインに求められる要件や、取り巻くビジネス環境は変わってきています。

先ほど触れたように、ビジネスの変化には人の変化が伴います。特にグッドパッチは、現在いわゆる“人月ビジネス”を主体とした事業モデル。人が資産の全てと言っても過言ではありません。採用目標は売上目標と完全に連動していますし、ポートフォリオの変化は人の力で生み出すしかない。変革を支えるキードライバーとして、日々この役割の重さを痛感しています。

もう1つは「カルチャーの変革」です。

グッドパッチは企業カルチャーを非常に大切にしてきた会社です。代表である土屋のnoteにもバリューをつくり浸透させていく軌跡がまとめられていますが、土屋自身がカルチャーをつくることに深くにコミットしています。毎月入社してきたメンバーに対して、土屋自身が会社の成り立ちとミッション・ビジョン・バリューの策定について5時間の社長研修を行っています。

また「モチベーションクラウド」や「Unipos」などのシステムを導入しながら、社員のバリュー浸透の測定や浸透の仕組みづくりにも注力してきました。

社員にヒアリングをしていると、バリューである「Inspire with Why」はクライアントワークで皆が当たり前に実践している、同じく「Play as a team」も取り組むのが当たり前といった声が多く出てくるなど、日々の事業活動の中でもコアバリューが根付いていることが伺えます。

もちろん完璧とは言えないまでも、経営側がコントロールせずとも、社員が自律的にコアバリューに沿った行動をするような会社に出会ったのは初めてだったので、非常に驚いたことを覚えています。

しかし、本質的には、カルチャーは「競争力の源泉」になっていないと意味がありません。環境の変化によって強みと言えなくなっているのであれば、どんなに皆が共感し、コミットをしていても、変えていかなければならないのです。

グッドパッチは今、まさに大きな変革期を迎えています。事業や会社の成長を続けるためには、「優秀でいい人が働く、いい会社」だけでなく「勝てる人が働く、強い会社」になる必要がある。これまで以上に成果にコミットし、自分自身の成長に加え、会社の成長への貢献もできるカルチャーに変えていきたいと思っています。

カルチャーの浸透とアップデートを牽引していく役割もCHROにはあります。ときに、土台のカルチャーも含めてメスを入れていくこともまた、経営幹部の一端を担うCHROだからできることでもあり、それゆえ、今のタイミングでCHROという立場がグッドパッチには必要だと考えています。

立場は変わっても、「人に向き合う」ことをやめるわけにはいかない

肩書きは変わりましたが、CHROになってもこれまでと変わらずに大切にしたいことがあります。それは、人のモチベーションを引き上げ、活躍を引き出すこと──つまり「人に向き合う」ことです。

私自身、これまでのキャリアで、人に向き合い、何かきっかけを与えることができたとき、最もやりがいを感じることができました。

また、人事の現場は「人」なので、できるだけ一次情報を得ることが大切だというのも大きな理由です。働く人に関する情報は定性的なものがほとんど。従って、人づてに聞く情報には、必ず間に入る人の「バイアス」がかかるからです。

もちろん、社員数が増えていく中で、全員とじっくり対話をする機会を持つのはどんどん難しくなっています。それでも、採用時やオンボーディング、昇格や退職など、キャリアの節目節目で社員一人ひとりに向き合い、一緒に未来を見据え、彼らの踏み出す一歩に寄り添うことを信念を持ってこれからも続けていきたいと思います。

人事というのは奥が深く、20年経っても初めて経験することや分からないことばかり。正直、自分の1年後を想像するのも難しく、至らぬ点も多いですが、変化を楽しみつつ、社内外の皆さんの期待に応えられるようベストを尽くしていきます。引き続きどうぞよろしくお願いいたします!

そして、今までのキャリアの中で成長機会を与え続けてくださっている皆さん、グッドパッチに入ってから、一緒に汗をかき続けてくれているチームメンバーの皆さん、嫌な顔一つせずいつも向き合ってくださるグッドパッチで働く皆さん、これからも温かい目で見守ってもらえますと幸いです。

Pizzapatchにて


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