新米販売も “必要量確保できず”の声 ふるさと納税も停止

2024-09-04 いしまる

神戸 産直施設に新米並ぶ “慌てず必要な分を買って”

神戸市中央区にある産直施設「西播磨ふるさと特産館」では、9月に入って兵庫県内で収穫されたことしの新米が店頭に並び始めました。

この施設によりますと、コメの入荷はお盆前から少なくなり、南海トラフ地震臨時情報のあとは品切れが続いていたということです。

新米を購入した60代の夫婦は「コメがなくなったので、備蓄用のコメやパンを食べていた。新米が買えて安心した」と話していました。

新米を届けた農家の藤本俊祥さんは、ことしは天候に恵まれ、コメの生育は順調だったとしていて、「甘くてもちもちのおいしい新米がとれている。慌てず必要な分を買ってほしい」と話していました。

産直施設の佐野陽子副店長は「これから徐々に新米が店頭に並び始めるので、安心して買い物に来てほしい」と話していました。

静岡 島田 台風10号の大雨で収穫作業遅れ “これから全力で”

静岡県島田市の初倉地区にある田んぼでは、例年8月末ごろから収穫を始めますが、台風10号の影響で大雨が続いたため、土がぬかるみ、コンバインを使った収穫作業ができない状態が続いています。

3日午前の時点で田んぼは徐々に乾いてきていて、農家は天候がよければ、4日から収穫を始めたいとしています。

農家の北川英行さんは「40年近くコメ作りを続けているが、この時期にこれだけ雨が続いたことはない。生育状況に心配はないので、これからは全力で収穫を進めていきたい」と話していました。

また、この地区では3日から新米の品質検査が始まり、地元の農家たちがJAの施設に収穫したコメを持ち込んでいました。

JAによりますと、まだ収穫できていない農家が多く、3日は10トン余りのコメを検査する計画だったのに対し、実際に持ち込まれたのは2トンほどだったということです。

JA大井川初倉営農経済センターの天野信康さんは「台風の影響で稲刈りが遅れているが、今後は順調に収穫が進んでいくと思うので、安心してほしい」と話していました。

栃木 足利の保育所 なんとか確保も 品薄で価格は高く

栃木県足利市の山川保育所では、0歳から6歳までのおよそ70人の園児を預かっています。

このうち、0歳からことし3歳になる子どもたちにはごはんを含めた給食を提供していて、そのために必要なコメを30キロ用意し、少なくなってくるとそのつどJAから仕入れてきました。

しかし、8月、JAに注文するために連絡をとったところ「コメの在庫がない」と返答があり、手に入れることができなかったということです。

保育所は別の業者を探す対応に追われて、今回必要な量はなんとか確保できたものの、品薄の影響でコメの価格は1キロ当たりおよそ70円高かったということです。

品薄に加えて、野菜や肉、それに調味料などが値上がりする中、コメの価格も上がると、大きな負担になることから、主食にパンなどを増やすことも検討したということです。

山川保育所の中島由美所長は「子どもたちには栄養のあるものを食べてもらうのがいちばん大事なので、高くてもコメを買いたいとは思っています。やりくりは大変ですが、子どもたちのために工夫してなんとか乗り切りたいです」と話していました。

フードバンク “新米が入ってきても値上がり”

神戸市東灘区にあるNPO法人「フードバンク関西」では、生活に困っている人を支援するおよそ140の団体に無料で食料を提供しています。

このNPO法人によりますと、8月までに寄付されたコメの量は、去年の同じ時期に比べて2割余り減り、特に8月から大きく減っているということです。

在庫は例年の半分程度しかないため、一部の団体にはコメが提供できない状態になっているということです。

食料を受け取りに来た子ども食堂の関係者は「米びつが空になりかかっているので期待して来たが、きょうはもらえなかった。これからが心配だ」と話していました。

「フードバンク関西」の中島真紀理事長は「コメは主食なので、安定して供給したいが、現状は難しい。新米が入ってきても値上がりしているので、困っている家庭にはますます手が出なくなる」と話していました。

茨城 コメ返礼品のふるさと納税 3市町で受け付け停止

NHKが茨城県内で昨年度のふるさと納税の寄付額が多い10の自治体を取材したところ、取手市、牛久市、八千代町の3つの市と町で、在庫がなくなったとして、コメを返礼品としたふるさと納税の受け付けを停止していたことが分かりました。

このうち八千代町は、昨年度22億8000万円余りと県内で3番目に寄付額が多く、コメを対象とした寄付額は全体のおよそ70%を占めていました。
町の昨年度のふるさと納税の寄付額は、コメが好調だったことで、前の年度から2.4倍余り増えました。

しかし今年度は、在庫がなくなった影響で、4月から去年産のコメを返礼品とした納税の受け付けを停止しています。
町によりますと、8月までのふるさと納税の寄付額は、コメを返礼品とする寄付を受け付けられなかったため、およそ2億円となり、去年の同じ時期のおよそ5億5000万円と比べて、40%程度にとどまっているということです。
9月2日に新米を対象とした受け付けを再開させましたが、今年度のふるさと納税の寄付額は大きく減少する見込みだとしています。

八千代町の野村勇町長は「高温や天候不順によって、コメの価格や質がどこまで左右されるか分からず、ふるさと納税についても先行きに不安を感じている。ようやく新米を出せる体制が整いつつあるので、これからの寄付の伸びに期待している」と話しています。

取手市では、品薄の影響で返礼品のコメに人気が集まり、コメを対象とした寄付は8月までですでに昨年度1年間分の件数や金額を超えていて、在庫不足から、8月中旬以降、受け付けを停止しました。

牛久市も8月から受け付けを停止し、9月中旬以降、新米で受け付けを再開したいとしています。

茨城県内ではこのほかの自治体でも、寄付を受け付けてはいるものの、発送が遅れているところがあり、品薄の影響が影を落としています。

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