「飛鳥・藤原の宮都」世界文化遺産の国内候補として推薦決定
2024-09-09 いしまる
これは、9日開かれた文化庁の審議会、世界文化遺産部会で決定されました。
「飛鳥・藤原の宮都とその関連資産群」は、奈良県明日香村と橿原市、桜井市の6世紀末から8世紀初めにかけての飛鳥時代の文化財からなります。
天武天皇などの宮殿があったとされる明日香村の飛鳥宮跡や極彩色の壁画が見つかった高松塚古墳、橿原市の藤原宮跡など22の文化財が構成資産として盛り込まれています。
文化庁の審議会は選定理由について、東アジアの古代国家形成期において、中央集権体制が誕生し成立した過程について、宮都の変遷から示すことができる唯一無二の資産だとして、顕著な普遍的な価値が認められるとしています。
また、これまで構成資産の保護が課題でしたが、基本的には十分な保護措置を受けているとして、推薦が適当だとしました。
一方、審議会では、推薦書は英文で提出する必要があり、名称を分かりやすくするため名称から「その関連資産群」を外して「飛鳥・藤原の宮都」として推薦するということです。
今後、政府は9月末までに暫定版の推薦書をユネスコに提出し、ユネスコの諮問機関による事前審査を経て、早ければ2年後の世界遺産委員会で登録されるかどうかが決まります。
世界文化遺産をめぐっては、政府は滋賀県にある「彦根城」について3年後の2027年以降の登録を目指しています。
奈良 明日香村では祝福ムード 村長が喜び語る
「飛鳥・藤原の宮都とその関連資産群」が世界文化遺産の国内推薦候補に決まったこと受けて、奈良県明日香村では役場の庁舎内に懸垂幕が掲げられるなど、祝福ムードに包まれました。
森川裕一村長は、集まった役場の職員や報道陣を前に「世界遺産登録に向けての本当の第一歩がはじまったということで、心からうれしく思います」と喜びを語りました。
そのうえで「この地域をずっと守り続けている村民、周辺の市民の皆様に心からお礼を申し上げたい。これから、目標に掲げる2年後の世界遺産登録、そして未来の飛鳥地方づくりに皆さんとともに頑張りたい」と決意を述べました。
「飛鳥・藤原の宮都とその関連資産群」今後は
「飛鳥・藤原の宮都とその関連資産群」は、奈良県の明日香村と橿原市、桜井市に広がる6世紀末から8世紀初めの飛鳥時代に設けられた宮殿や寺院の跡、古墳など22件の文化財で構成されています。
この中には、天武天皇など4代にわたる天皇の宮殿があったとされる明日香村の「飛鳥宮」の跡や、日本で初めての本格的な都と言われる橿原市の「藤原宮」の跡、それに日本最古の本格的な寺院の「飛鳥寺」の跡などが含まれています。
また、蘇我馬子の墓とされる「石舞台古墳」や、極彩色の壁画が見つかった「高松塚古墳」、「キトラ古墳」なども含まれ、日本の古代史を語るうえで欠かせない貴重な文化財が構成要素となっています。
地元の自治体で作る協議会は、「日本」という国家が東アジアとの交流を通じて成立したことがわかるほかに例のない文化遺産で、「世界の宝」としての評価に値するとしています。
今後、政府は今月末までにユネスコに暫定版の推薦書を提出したあと、閣議の了解を受け来年2月1日までに正式な推薦書を提出する予定です。
その書類に不備がなければユネスコの諮問機関による事前審査が始まり、再来年の5月ごろに、世界遺産への登録がふさわしいかどうかの勧告が行われます。
そして、同じ年の夏ごろにユネスコの世界遺産委員会が開かれ、登録の可否が決まることになります。