タケチヒロミ(Roulottes)

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旅するウェディングドレス、チェコへ。

キューバ、チェコ、マルタ島、ロンドン…。これらはわたしがつくったドレスが旅した場所。それはもはやわたしが旅したとは言えないだろうか。言えないか。でも気持ちはいっしょに旅するような気持ちで花嫁さまとドレスを送り出している。心をこめてつくったドレスが世界中を旅している。そう考えただけでうれしい。わくわくする。わたしの旅するドレスたち。旅するドレスドレスをつくる仕事をしているわたしは無類の旅好きで、「旅をしてドレスをつくる」という仕事スタイルをずっと模索してきた。コロナ

40代、ドレスと学問は両立できるか?

 学びは、わたしたちを、思いもよらない素敵なところに運んでくれる船だと思う。 3年前の今ごろ、わたしは40代後半で通信制大学に入学することを決めた。ドレスをつくる仕事と、学業との両立には不安もあったし、ふたりの子の母でもあるわたしが大学で勉強を始めることは、最初は家族にいい顔をされなかった。 でもわたしは学びをあきらめなかった。 そしてわたしはこの春、芸術大学の文芸コースを卒業し、学芸員資格も習得できる見込みとなった。40代で大学に入った理由 きっかけは、コロ

繕うこと繋ぐこと、祈りを踊ること。

 服をつくるわたしには「つくる責任」がある。 ドレスのお直しの仕事をしているわたしは、日本各地に伝わる「繕い」の技術を知りたくて、旅をしている。 秋田に行ったのは、西馬音内盆踊りの「端縫い衣装」をみるためだった。端縫い衣装はその名の通り、家族の着物を再利用したり、小さな端切れを縫い合わせて踊りの衣装にしたものだ。 町の人たちは、それぞれの衣装の由来をうれしそうに話してくれた。この裂はお婆ちゃんが嫁入りしたときの振袖で、それを姪っ子の踊り衣装に仕立てたのだとか、母娘

居場所は「好き」でつくられる 兵庫・豊岡のちいさな図書館「だいかい文庫」で感じたこと

文学は、生きるためにある。本や文学にできることはまだまだあるし、文学はやっぱり、生きるためにある。とあらためて感じた「ブンガクのまち」城崎と豊岡の旅。その思いをいっそう強くしたのが、豊岡の「だいかい文庫」との出会いだった。だいかい文庫とは「だいかい文庫」とは、ちいさなシェア型の図書館のことだ。ここでは本を借りたり、買ったり、カフェとしてコーヒーを飲むこともできる。どうやら医療福祉の相談所でもあるらしい? カフェはわかるけど、医療の相談所って、どういうことだろう。手

秋田-岩手JR北上線|駅舎に温泉のある「ほっとゆだ駅」でテレビ取材された話

もしも旅の神さまがいるとしたら、旅で一喜一憂するわたしをみて笑っているに違いない。旅をするたびに、いつも何がしかのトラブルや、ありえないことが起こる。ぜったいにおもしろがられてる。それは7月末日のこと。8月初旬の秋田・岩手への旅行をひかえ、旅の準備をしていたわたしに衝撃的なニュースが飛び込んできた。なんと7月の秋田を中心にした東北地方の大雨の影響で、秋田から岩手を結ぶJR北上線の「のり面」が崩れて運休しているというのだ。JR北上線が運休しているですって?さて、今回

旅とアート|藤田嗣治《秋田の行事》と竿燈まつりをいっぺんに

わたしはほんとうにラッキーでした。秋田県を旅して秋田県立美術館に立ち寄ったのですが、そこで藤田嗣治の大壁画《秋田の行事》と、その作品で題材として描かれている「竿燈(かんとう)まつり」を、いっぺんに、ひとところで、思いがけなく観ることができたからです。秋田県立美術館と藤田嗣治秋田県立美術館には藤田嗣治の《秋田の行事》という大壁画の常設展示があります。高さ3.65メートル、幅は20.50メートルもの圧巻の大壁画に、春夏秋冬の秋田の行事が描かれています。壁画中央の「夏」の部

「映画けいおん!」の聖地の学校で、放課後ティータイムを過ごした話

高校生の娘がギターを始めたのは、小学校のときに観た「映画けいおん!」の影響だった。「映画けいおん!」がきっかけでギターを始めた娘が最初に「けいおん!」のアニメ版を観たのは、たぶん小学1年生か2年生のときだったと思う。小学校がインフルエンザで学級閉鎖になって、ヒマを持て余したわたしたちはケーブルテレビで「けいおん!」の一挙放送を観たのだ。このとき夢中になっていたのはむしろわたしのほうだったかもしれない。ベッドのうえでギターの練習をする唯ちゃんの姿は、絵を描くことに夢中に

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