私を二郎に連れてって、疑似郎と豚山編。

2024-09-02 マツダミキヲ 料理人

「二郎系ラーメンってどんな味だろう?」
夏の午後、夕立が降るように思い立った。
なにかキッカケがあったわけじゃない、しいて言えば暑かったのと腹が減っていたくらい。それだけ。

コレはサッパリが信条の料理人が二郎に興味を持ち始めた記録である。


・遠い世界に旅に出ようか、それとも?

僕は生粋のハマっ子(横浜っ子)なのに家系ラーメンはほぼ食べないくらいラーメンはスッキリ淡麗派。
豚骨よりも鶏ガラや鰹節、煮干し、昆布の方が好き。
和食の仕事をしているのもあるだろう、豚骨とは関わりの薄い人生を歩んできた。

2018年、豚骨を引いた数少ない記録。

そんな人間なので、二郎系ラーメンってのは異世界のように感じていた。
激辛とか、大食いとか、インスタ映えとか、コンカフェとか、5大シャトーとか、そのくらい遠い世界の物だと思っていた。


二郎系は量が多くて、濃ゆくて、脂が多くて、暗黙のルールが多くて、厳しいらしい。
程度の認識だったのだが、興味を持ったんだし調べてみよう。

そうやって食文化を知らないでなにが料理人だ。
少しでも興味を持ったら知ろう、そうしよう。


ふむふむ、基本的に量は多いが小さいのも選べるし、麺を半分とかもできる。
タイミングでしっかりルールに沿って注文が必須。
店によって声掛けのルールがあるのか。
ううむ、せっかく食券あるんだしもっと分かりやすくすりゃあいいのに(きっとそういう文化なのだろう)
直系の店以外にもインスパイア系もある、豚山ってのが初心者にはベターなのか?

う~~ん、ちょっと怖いねぇ
1人で割烹も寿司もフレンチも行ってきたけど、ここはまた違う怖さがあるねえ。
茶道的な緊張感がある。


調べていくうちに特に大事なのが食べきれるかどうか。
それなりの速度で相当な量を食べる必要がある。
うむ、コレはずいぶんと効率化されていますな。

というわけで、とりあえず自分で近しい物を作ってみた。
(気になったら作るを信念としています)

ちょうどつけ麺用の太麺が250gあったので、あり合わせで想像上の二郎を。
そして自分のキャパと時間を知ってみる。

・疑似二郎、いわゆる疑似郎

麺はつけ麵用の太麺を250g(茹で後は400gくらいかな?)
具は焼き豚、うずら、ヤサイ、フライドオニオン、ニンニク、生姜。

焼き豚は自家製の端切れで、チャーハン用に冷凍しといたので脂身率が高い。
ニンニクと生姜を油多めで炒めて、それに焼き豚を絡めて炒め濃厚に仕立てた。
スープは市販のつけ麺用の豚骨スープにシャンタン、鶏がらスープの素、味の素、薄口醬油。
焼き豚を炒めたあとの鍋でスープを合わせるの地味に大事。

うずら卵は市販の。
サッと湯通しし、アツアツ状態で焼き豚のタレに絡めて即席の味玉に。

スープはけっこう濃いめ、麺が太いと味が濃くなる摂理。
背脂チャッチャとか、しっかりしたチャーシューは無いけど、まぁまぁそれっぽい仕上がり。

もやしが無くてキャベツとネギとニラなのは悔しいが、、
茹で野菜は搾らないのが基本っぽいので、ざっと水気を切る程度。
濃いめのスープ、太麺、水気の多い野菜。このバランスが難しい。

ちなみに麺はこんな感じ。
調べるともっと太いね、しかも強力粉の麺ってことはそうとうワシワシしているはず。
てことはスープもっと味が濃いめか?

ただ、見た感じだけど麺の麦味はかなり強そう。
太い讃岐うどんの店が好きだったので、アレに近いのかも?と思ったり。


ニンニクがすりおろしたのしか無くてアレだったけど、生ってのは強烈ですな。
どうしても匂いを気にして加熱してたので、久しぶりに生ニンニクの強烈さを味わった。
が、コレが心地いい。むしろ必須。
ニンニクは野菜界屈指の糖度なのもあっていい甘さ、豚骨のべったりした濃度と強烈な香りは合う。

これに関しては生姜よりニンニクだわ。

どっかで齧った知識だけど、マヨネーズも試してみた。
正直あんま得意じゃない組み合わせ、恐る恐る口に運ぶ。
あらら?これはまろやか~

よう考えたらそうだわな!マヨネーズって酢だもんね。
しかも卵黄と酢と油。まろやかで然るべき。


いくつかのお店の口コミを見ると汁の乳化、非乳化、についても言及があった。
今回は豚骨スープらしく乳化だが、非乳化の物もそれなりに乳化してるっぽい??

中国料理にある豚骨の透き通ったスープとは別の考え方なのかな。面白い。

さて、ここまで書いたがまだ本物はまだ食べたことが無い。
数人の有識者に話を聞いて、とりあえず豚山に行くのがよさそうだと思った。うむ。

2回行く事ではじまる。らしい??はて??



前編は豚山へ行く前の記録。
後編は豚山を食べてからの記録。



・はじめての豚山

あれから8日、来てみたぞ。
豚山 元住吉店

下調べを丁寧にしたので、昼のピーク時を避けて、注文内容をしっかり決めて、声掛けの順序を学び、トイレを済まして、レッツラゴー!

中には3人の先客、空いてる、時間をずらしただけある。
有線からは宮本浩次のソロ曲 going my wayがかかっている。男っぽい。

券売機で小ラーメンを買う。950円、ちょうど用意してきた。
券売機の隣の給水機で水を汲み、案内されたカウンター席へ。
麺の固さにこだわる人は食券を渡すときに硬めだとか言うらしいが、今回は普通を。


孤独のグルメの井之頭五郎のように、周りのお客さんの食べている物をじろりと観察、厨房内の仕組みを観察、背脂にもタレをまぶすんだな~
冷やしってのも面白そうだ。
”アレ”ってのは本当に注文で言うんだなぁ。

次の曲(確かテクノ系)になってしばらくしたら聞かれた
店員さん「小ラーメンの3番さん、ニンニクいれますか?」
僕「ニンニク少な目でお願いします!」
店「他はどうしますか?」
(ここまで聞いてくれるの!優しいね)
僕「あとは標準でお願いします」
と頼み、僕の丼が盛られるのを眺める。

!!キタ!!

想像してたのより意外と小さい?
いや、丼がでかいのか??

電光石火で写真を撮り、まずはスープを二口。
甘い!塩味も豚っぽさも強いがこの甘さは想定外。
焼き豚の漬け汁みたいだ。

焼き豚か煮豚の汁のベースを豚骨出汁にしたような印象。
砂糖?みりん?なんだろう?



さて、念願かなって麺を混ぜて食らう。
太くて少しだけ縮れている。

麺の質はワシワシ?もちもち?もそもそ?ツルツル?
コシが強い讃岐うどん、手打ちでアルデンテなタリオリーニ、猫耳麺、刀削麺、一晩寝かせた太麺で作るナポリタン、近い物はいくつか思い浮かぶのだけど独特。

噛めば噛むほど味わい深いのだけど、そこまで嚙まないでも飲み込めてしまえる。
スープの味の濃さと脂の多さ、それと野菜の水気が大きな要因だろう。
なるほど、このトリックであの大量の麺をあの素早さで食べる仕組みができているんだな。
太く密度が濃いのでスープを吸いすぎないし、コシも強さを維持しやすいし、味の濃いスープと口に運んで飲み込むのにちょうどいい。

ヤサイという表現はなんだか慣れないけれど、ようは茹で野菜。
もやしと少しのキャベツ。

当たり前だけど、茹でたモヤシは水っぽい。
自分で作った時にコレをどうやってスープと合わせるのかがかなり難易度高かった。
茹でモヤシを搾って水っぽくしないようにするのが常套手段だろう。

けど、このタイプでモヤシが瘦せ細っているのを見たことないし、事実として搾られずに絶妙に水気を切られていた。
スープの濃さとの塩梅が絶妙だったなぁ。


ってのは煮豚
正直これに関してはあんまし納得できなかった。
部位の問題かな?脂っけがほぼない。これが通常なら、次はアブラとコールして背脂チャッチャしてもらいたい。

あ~けど、大盛りでマシマシとかを食べるようなら肉はこっちの方が合うのかもしれんな。肉単体での美味さとは違うのかもしれない。
文化を学ぼう。

ニンニクは必須。

最初の数口はニンニクを混ぜずに食べた。
それはそれで美味いのだけど、のっぺりと重たく塩気が強く感じる。

ニンニクを混ぜて食らうと香りと辛みと刺激が一気に増え、これが答えだ!!となる。
寿司のワサビと言うか寿司酢に近いレベル。
夏の終わりのハーモニーくらい相性が良い。


ニンニクという野菜は野菜どころか植物でも上位の糖度30~40%
サトウキビやサトウダイコンなど砂糖の主原料の倍以上の糖度を誇る野菜なんです!!(すぐ焦げるのはそういう理由)

だからこそ、きっと甘さが重要な役割を果たしている感がある。
生ニンニクなんて辛味も匂いも強烈な食材でさ、それをあの濃厚なスープや力強い麺と合わせた影の立役者はニンニクの糖度だと思うんだ。

それと、生のニンニクがスープの熱で徐々に加熱されてまろやかに、そしてスープにエキスが出るのも面白い。
いつか、ニンニクもマシマシにして食らってみたいものだ。

・美味しく食べきれたよ。

三曲目、若いアイドルっぽい曲がかかり同時に終盤に。
ニンニクも野菜も麺も混ぜこぜになる。
混ざり切った状態の塩梅も美味い、というかコレが本来の美味しさ?
野菜から水分が出てるのと、麺がスープを吸うのと、麺の味とトロミが混ざるのと、ニンニクのエキスが染み出るのと、バランスが絶妙なんだなぁ~

最初の方は意外とペロリかな、とか思ってたけど、終盤になると速度低下してくる。

卓上の調味料は酢、ラーメンタレ、白/黒胡椒、一味。
アレンジを加えるにはまだ早い気もしたが、少しだけ黒コショウを加えてみたりして食べ進める。
次は少し酢を混ぜるのもやってみたいな。どうなるのかな。

最初は麺率高めで食べ、後半はヤサイ率高めで食らうのがいいのかしら?
いつか有識者に聞いてみよう。


あんまり覚えていないが大体15分くらいで食べた。
ラーメンの平均的食事速度は分からんが、最後まで麺のコシはそれなりにあって、スープは熱かった。
及第点なのかな?どうなんだろう?

スープを飲み切るのは無理だったが、麺も野菜も肉も食べきった。
美味しかった!!面白かった~~
満足満腹、ベルトを緩めて帰ろ。

・おまけ、ニンニク臭を和らげよう。

僕はまぁニンニクが好きなんだけど、匂いが強烈なんだ。
そういうもんだから仕方ねえ、どうやら昨今の人々はこの匂いを減らすのがマナーらしいので一応ね。

食後すぐにリンゴジュースを飲む。
リンゴポリフェノールがどうやらで消臭効果があるらしい。

しかし、最近は500mlボトルのリンゴジュースってのがいないもんだねえ。
困っちゃう。


帰宅してすぐに歯を磨く。
3種の歯ブラシと3種の歯磨き粉を常備しているのでこういう時に便利さ。

その後、コーヒーと牛乳という匂い消しの代表格を飲みつつ、この文章を書いている。

ちなみに濃い緑茶やウーロン茶、パセリ、レモン、なんかも消臭効果があるらしい。参考に。


・改めて、疑似郎、そして次は?

直系の二郎ではなくても、豚山の味ですでに分かる。
僕の想像上の二郎系は全然別物だ。
あの甘さと野菜の加減、麺のごつさ、こうも違うとはね。

分かってはいたけど再現するのは難しそうだ。

というわけで僕は家なら家で、竹岡式ラーメンでも作ってみよう。
そうしよう。出汁を引かないラーメンこそ家庭向きだろう。


さて、次はどこへ行こう。
友人の有識者に聞いたらまずは二回行くのが大事と言われたので、二回目いってみよう。
それで癖になるかは分からんけど、次は直系の二郎かな。どの店へいこうか。

また進展があれば書いてみよう。そうしよう。
では。




久しぶりにこの曲聞いたけどおもしれえなぁ~~

つづく。かなぁ?

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