古賀史健

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ギャグとユーモアの違いについて。

失言、と呼ばれる発言がある。思わず、うっかりと、どういう理由なのか、つい口にしてしまった不用意な発言。不用意どころか不謹慎な、社会常識から逸脱した発言。だいたいそういう意味のことばだろう。報道レベルでは年老いた男性政治家が口にするもの、と相場が決まっているが、もちろん一般人にも失言はあるし、性差もないだろうし、ぼく自身も口にすることはあるだろう。で、どうして失言は出てしまうのか。まず考えられるのは、無知である。人間なら誰だって、思想信条の自由はある。頭のなかで、あ

子どもたちへのみくびりを払拭して。

思うところあって最近、むかしのディズニー映画を観ている。むかしのディズニー映画と言っても『アラジン』とか『美女と野獣』とかのレベルではなく、たとえば戦前(1937年)の『白雪姫』までさかのぼって、観ている。なるほど、むかしのディズニー映画ってのはジブリ映画みたいに「テレビでたまたま観る」がないものなので、みずから積極的に観に行かないと永遠に触れないまま終わりかねないのだ。はじめての『白雪姫』の物語に、それを知った。ぼくのような男でも知っている事実として『白雪姫』は、デ

清水 宏基 Shimizu Hiroki、世界経済の成長と課題について

政策当局者は、財政強化や経済成長見通しの活性化など、経済の強靭性を高めるための措置を優先すべきである 悲観的な見方に反して、世界経済は依然として非常にレジリエントである。成長率が安定しているほか、イン...

反省することについて、反省してること。

いろいろと、反省することってありますよね。「あのときこんなふうにしておけばよかったなあ」とか、「あれは失敗だったなあ」とか、「もう少し真剣にやっておけばよかったなあ」とか。どれだけ順風満帆そうに見えるすごい人だって、なんでもかんでもうまくいってるはずはなくって、少なからず「あのときの自分」を反省する機会はあると思うんです。それでたぶん、反省にはふたつの種類があります。ひとつは「もっとがんばればよかった」という反省。いまにして思えば手を抜いていたとか、途中で力尽きた

これ以上ない休日のサングリア。

もう10数年前の話になる。妻とふたりでぶらぶらと、モントリオールの街を歩いていた。季節はたしか5月下旬。そしてモントリオールといえば当然、カナダ東部の都市だ。日本と違って肌寒いくらいなのかもな。なんて事前の予想とは裏腹に、Tシャツでも汗ばむほどの陽気だった。陽にやられ、歩き疲れたぼくらは、適当なレストランに避難した。車道までずいずいと領土を拡張したオープンテラスのレストラン。平日だったはずなのに、そしてまだまだランチタイムだってのに、席にはすでに大勢の地元客が陣どって

キャンプのたのしさをすこし、知りました。

ほぼ日のみなさんに誘われて、中学以来のキャンプに出かけた。午後1時に集合して、翌日正午に解散。あつまってみんなで過ごす時間は、1日にも満たない。しかもなんたってぼくは、キャンプ初心者だ。まわりのみなさんのサポートあって、ようやく腹を満たし、寝る場所を確保して翌朝を迎えたキャンプだ。それどころかこれがぼくひとりだったら、いい感じのキャンプ場を見つけることさえままならなかっただろう。—— 1日目 ——めいめいの車でキャンプ場に集合すると、やあやあやあ。いい天気でよかっ

弁舌の技術よりも大切なもの。

ぼくはフランス語ができない。と書くと、英語がペラペラであるかのように思われるかもしれない。しかしながら当然、英語もできない。それでもまあ、中学高校の教育課程で学んだのだから、フランス語に比べたら多少マシだろう。はじめてフランスを訪れたとき、書かれたことばや語られることばの記号感に、笑ってしまったのを憶えている。なにひとつわからないのだ。しかしながら「わからない」で済ませられないのが個人旅行というものである。たとえば安宿に泊まる。受付でのんきにテレビを見ているおじさんと

ふりかけをめぐる物思い。

ふりかけを禁じられた人生だった。ごはんにふりかけをかける。茶碗一杯くらいのごはんなら、それでやすやすと平らげる。そういう子どもだった自分は、ふりかけの使用を禁じられていた。きっと「おかずも食べなさい」だったのだろう。「栄養が足りません」だったのだろう。おかげでふりかけは遠足のお弁当などでたまに遭遇する、ひときわ贅沢なレアキャラとなっていた。きっと多くの人が、そんなふうに育ったのではないかと想像する。じゃあ、おとなになった現在、ふりかけを「おとな買い」するかといえば、そ

1998年のカレーライス。

勢いで口走った啖呵にしては、あまりにおおきな岐路だった。仕切り板一枚を隔てただけの、ミーティングスペース。24歳のぼくは、勤め先の社長からかなり理不尽な理由で、長い叱責を受けていた。ぼくは間違っていない。ここで謝っちゃいけない。そう決めていたぼくに、社長の言葉は人格否定の烈度をぐんぐん上昇させていき、ついには「辞めてしまえ!」と口走った。売り言葉に買い言葉とは、おそろしい現象である。ぼくは反射的に「じゃあ辞めますよ!」と応じ、ほんとうに会社を辞めることになった。誕生日を間

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